猫に小判、抹茶に羊羹

役に立つことは多分ない。美味なるものには毒がある

「女性の脳の方が動きが複雑」はちょっと違うんじゃないかな

 これまたよく言われるのが「女性の脳はマルチタスクでいろいろなことを同時にこなすことができる」「女性の脳の方が動きが複雑だ」というものだ。ただ、脳は基本的に色々なことを同時にできていることは確かなのだ。だから、TVを見ながら鼻くそをほじるなんていうことができる。実際に人間が何気なくやっていることをこれをロボットでやらせようとすると、それなりに大変なことになる。

  さて、もはやどこが本家なのかわからないけど、こんな図がある。上が男性の脳の部位ごとの情報伝達、下が女性の脳の情報伝達を示すらしい。

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 男性の場合、前後方向の結合が、女性の場合左右方向の結合が強いことが見てとれる。

 脳の役割分担というのは、前後方向に向かって分かれているわけで、ざっくりといってしまえば、同じ構造のものが二つ左右に分かれて配置されていて(左脳と右脳)その間を脳梁と呼ばれる部分がつないでいる。

 

・男性の脳は祖結合デュアルプロセッサシステム

 男性の場合に前後方向への結合が強いということは、つまり左脳・右脳をひとかたまりのシステムとして稼動させ、両者を祖結合させたということだろう。祖結合のデュアルプロセッサシステムという感じか。まったく種類の異なる情報処理機構をひとつの目的に向かって集中的に利用し、それぞれの部位での処理結果を相互にやりとりすることで、複雑な情報処理を実現しているのだろう。

 とかく「女性の方が複雑な・・・」という人はいるけど、たぶん「複雑」の意味が違っている。集団で狩猟をするようなときを考えると、さまざまな情報を取り込み、五感で得られる情報や、地形や獲物の特性など、自分の記憶に基づく情報、更には共同で狩をしている(恐らくは姿も見えない)仲間の動きなどを全部寄せ集め、論理的な思考と組み合わせて獲物を追い詰め、仕留めなくてはならないわけだ。事態は刻一刻と変化する。これに的確に対処しないと仕留めるどころか自分の命さえ危うくなる。これが「複雑ではない」とするのはどう考えてもおかしい。

 男性の脳は、さまざまな処理部位を統括制御し、高速処理するのが得意なのだということだろう。

 

・女性の脳は密結合マルチプロセッサ 

 一方、女性の場合、左右の同じ部位同士の結合が強い。左右それぞれを結合させて、比較的狭い範囲で密に処理しているように見える。

 男性の脳に比べるとグラニュアリティ(粒度)の小さい処理単位が固まった密結合マルチプロセッサシステムのようだ。

 密結合マルチプロセッサでそれぞれの部位が勝手に動作できるということが「複数のことを同時に処理できる」となるのだろう。ただ、このネットワークを見ていると、左右の同じような部位が結合しているので、何をするにも左右の同じ部位が働く、つまり脳梁を経由して情報をやりとりしないといけないわけで、これは通信ネットワークに非常に大きな負荷をかけることになるだろう。

 また、前後方向のつながりが弱いというところからすると、異質な情報を組み合わせて統括的に処理するのにはあまり向かないように思える。

 「女性の脳はマルチタスク」というよりも、「比較的狭い部位だけで処理ができる基本的な処理がいつも複数同時進行している」というのが正しいように感じられる。

 

 男性の場合には、基本が前後方向のリンクなので、不要と判断した部位からの情報を切り捨てることも比較的簡単だ。その分、ネットワークへの負荷が軽くできるし、「今自分にとって必要な情報だけ」を取り出して集中的に処理することがやりやすい。

 たとえば「男性は、テレビを見ているときに話しかけても反応しない」ということが良く言われて、これが奥さんからの不満になっていたりするようだけど、テレビを見るといきに会話という処理は不要であり、切り捨てているのは当然なのだ。

 

 一方、女性のような密結合なシステムでは、これらが同時進行できる。これをもって「複雑だ」とか「マルチだ」というわけだけど、実のところ、こういうシステムだと同じことをやるにしても、不要な情報を切り離すことが簡単にはできないので、どうしてもトラフィックが高いままで、ネットワークの負荷が重くなってしまう。特に左右をつなぐ脳梁部分の大きさにも限度があるわけで、あまりにも情報が多いとここがボトルネックになってくるだろう。

 

 脳の場合、ネットワークを構成しているのも脳細胞なわけで、恐らくはこれだけ負荷が重い分だけメインテナンス時間も必要だろう。女性のほうが睡眠時間がより長く必要だと言われたり、アルツハイマー認知症を発症しやすい原因のひとつが、こうした「常時高負荷状態」にもあるのかもしれない。

  また、女性の方がいわゆる「ヒステリー状態」に陥りやすいのは、セロトニンの分泌量が男性より少ないということもあるのだろうけど、こうしたネットワーク上のデータ量過多に陥りやすいということもあるのではないのかな。