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猫に小判、抹茶に羊羹

役に立つことは多分ない。美味なるものには毒がある

「女性のほうがストレスに強い」は間違い

「男性のほうがストレスに弱い。女性のほうがストレスに強い」というのも良く目にする記事だが、お医者さんに言わせると、どうもこれは俗説に過ぎないということだ。実際、PTSDうつ病といったストレスが引き金となっていると思われる精神疾患は女性のほうがはるかに多いらしい。

 

ストレスへの対応について日本精神神経学会での報告があって面白かったのでリンクしておこう。

https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1120050516.pdf

 

 色々書いてあるので、抜粋してみたけど、やっぱりたくさんありすぎて疲れるので、「抜粋の抜粋」で次の4点だけ引っ張ってみた。

1)PTSDパニック障害

 女性が男性の2倍くらいの率となっている。

 

2)ストレスがかかったときの行動

・男性は戦うか逃げるかという行動をとりやすい(逃げるという中には酒に逃げる、薬物に逃げる・・たぶん自殺というのも逃げなのだろう)

・女性は子供を守ったり、同性同士で群れるという行動をとりやすい

 

3)ストレスに対する反応

 男性の方がより敏感に反応する。男性は他者との優劣などに、女性は仲間からの疎外といったものに反応しやすい。

 

3)コルチゾールの分泌

 コルチゾールは交感神経を刺激する。ストレスに対して、男性の場合にはコルチゾールを分泌する傾向が強いようだ。

 女性ホルモンのひとつ、エストラジオールがコルチゾールの分泌を抑制しているようで、男性にもエストラジオールを投与するとコルチゾールが減少するし、エストラジオールが減少する閉経後の女性は男性以上にコルチゾールが増加する。

 

4)オキシトシンの分泌

 ストレスに対して団結を促すオキシトシンが分泌されるが、これはエストラジオールがオキシトシンの効果を増強する。オキシトシンは乳汁の分泌などにも作用するけど、他者との良好な関係が築かれているときにも分泌されて、相手を信頼したり、闘争欲や恐怖心を抑制する作用もある。オキシトシンを与えると盲目的に相手を信用してしまう傾向があり、二度三度と騙されるということにもなるらしい。

 

 ということだ。非常に乱暴なまとめかたをしてしまえば、ストレスがかかったときに、

・男性はコルチゾールの働きで交感神経を活性化させて、戦う、あるいは逃げる体制に入る。

・女性は女性ホルモンの働きでコルチゾールはあまり分泌されない。また、エストラジオールはオキシトシンの働きを強める。この結果、周囲の人と集まる(群れる)行動を取りやすい

 

 ということになるようだ。これだけのことからでも、いろいろと思い当たることがらがある。

 たとえば、ストレスがかかったときに、女性にとっては「自分の周囲に人がいること/集まること」を求めがちだけど、男性にとっては「戦うか逃げる」が至極当然の行動なのだ。

 逃げるというのには、酒におぼれるなんていうのもあるけど、一番穏やかなところでいえば、「他者との関係を絶って黙る」というものだ。

 

1)男性が黙るのはあたりまえ。家族は支えではなくストレスか 

 男女関係について記事を見ていると、「男性は喧嘩になると黙るからずるい」とか書いていたりするけど、これは男性の対ストレス反応としてはごく自然なことだ。

 また、結婚や恋愛推奨記事を書かれている方は「辛いときに傍らにいてくれる人がいることが良い」とか書いていたりするけど、これを本当に感じるのは女性、あるいは女性的な脳の持ち主の話だろう。男性にとっては本当に辛いときにはあまり干渉してほしくない。家族のような密な干渉というのは避けたいところだろう。

 これを裏付けるかのような研究結果もあるようだ。それによると職場よりも家庭にいるときの方が強いストレスを感じているという話である。

 「転んだときに横でじっと見守っているのが友情、手を差し伸べるのが愛情」という言葉があるけれど、これは男性同士の微妙な距離感の取り方をあらわした言葉と言えるのかもしれない。

 

2)中年以降の女性のオバタリアン化 

 中年以降の女性がいわゆる「オバタリアン(死語かな?)」化したり凶暴な感じになるのは、女性ホルモンの減少でコルチゾールが増加するためだろうか。

 

3)避難行動の男女差

  3・11のときの避難行動についての調査にも男女差が見られる。たとえば「避難したきっかけ」を見ると

http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h24/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-14.html

 女性の場合「家族、または近所の人が避難しようと言ったから」など、周囲と協調行動を取りたがる傾向が強くみられる。大きな災害時に女性の方が犠牲になる率が高いというのは、こうした行動故に「共倒れ」が起こりやすいためかもしれない。

 ある程度の問題に対しては群れるほうが有利かもしれないけど、集団になっても対処しきれないような問題に至ったときは、個別に「Fight or Flight」を選択する男性が優位になるということか。

 

 ちょっと離れるけども、同じような災害にあわれた方のなかでPTSDを発症した人の扁桃体は発症していない方の扁桃体よりも小さめであることが知られている。そして、男性の扁桃体はもともと女性よりも大きいということも知られている。 

 ストレスがかかると扁桃体が肥大化する。これが「うつ病」のはじまりだということだ。同じ体積だけ大きくなっても、もともと扁桃体が大きい男性の場合の方が分母が大きい分だけ影響が少ないのだろうか。

 

 3・11の後の追跡調査でも、男性より女性の方にフラッシュバックなど、PTSDと見られる症状を発症している比率が高いらしい。

 

 「女性のほうがストレスに強い」が間違いだということは言えるだろう。短期的には自殺などを選択してしまう男性のほうが弱く見えるけれども、いったん乗り越えた後、長期的には男性の方が強いということかな。

 

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 ストレスに対応して交感神経が活性化すると、アドレナリンやノルアドレナリンが放出される。

 ノルアドレナリン量は40歳以上の女性では年齢と正の相関関係がみられる(年齢とともに増加する)

 女性の場合、自身の「健康感」が低いとノルアドレナリンの量も減る。(男性はあまり関係ない)

 急性のストレスに対して男性はノルアドレナリン量が増加するが、女性はほとんど変化しない。

 

 パニック障害PTSDの有病率は女性が男性の2倍ほどとある。これは3・11の後の追跡調査データとも一致するようだ。

 

 副腎皮質ホルモンのひとつ、コルチゾールはストレスに対処するため分泌される。男性は学力テストなど、他者との競争や知的劣等感と繋がるようなタイプのストレス、女性は仲間はずれなど社会的拒絶からくるストレスで増加するが、概してストレスに対するコルチゾールの分泌は男性のほうが多い。

 つまり、男性のほうがストレスに対して交感神経が活性化しやすく、女性のほうが抑制的だということになる。

 

 男女とも高齢になるほどコルチゾールの分泌量は高まるが、女性の方が増加が著しく、男性の三倍程度の影響度があるようだ。また、コルチゾールの生成はエストロゲン(女性ホルモンのひとつ)によって抑制されるらしい。

 

ストレスに対する反応は、男性は「戦うか逃げるか(Fight or Flight)に向かうのに対して、女性は子供を守る(Tend)や女性同士で集まる(Befriend)の傾向にあるようだ。

 女性のばあい、ストレスに対してオキシトシンが分泌されるらしい。これは「群れを作る」行動をとりやすい。

 

 メスのラットを集団で飼うと単独のときより寿命が40%延びる一方で、オスの場合には単独の方が長生きするという研究データも発表されている。